2024-08-11
とうとうこの日が来たかというのが率直な思いです。実験工房のメンバーのうち作曲家である武満徹(1930-1996)、湯浅譲二(1929-2024)、鈴木博義(1931-2006)、佐藤慶次郎(1927-2009)、福島和夫(1930-2023)の各氏のうち、昨年福島和夫氏がお亡くなりになり、ただ一人残っておられた湯浅譲二氏もお亡くなりになられて、昭和の一時代の幕が完全に下りたような感覚があります。 湯浅譲二氏は、世界的に知られた作曲家としては合唱作品や声の作品も多く残しておられて、前衛的な「アタランス」「問い」や「オノマトペによるプロジェクション」、シアターピースの「演奏詩 呼びかわし」や日本語の発語に切り込んでいく「芭蕉の俳句によるプロジェクション」。そうかと思うと「はしれちょうときゅう」などのこどものうたや、多くの校歌、アメリカ民謡の合唱編曲や調性のある合唱曲など多岐にわたっています。
1971年に作曲されて全音から出版もされている「問い」を聞いてみましょう。
楽譜を見ればわかるようにシアターピースの様相が強い曲なので、音だけでなく、映像もあればよかったんですが、残念です。
あとは今後も演奏されるであろう、「芭蕉の俳句によるプロジェクション」を聞いてみましょう。
1. 野ざらしを 心に風の しむ身哉
2. いのちふたつの なかに生きたる 櫻かな
3. 夜ル 竊ニ 虫は月下の 栗を穿ツ
4. 海くれて 鴨の声 ほのかに白し
5. 山も庭も うごきいるるや 夏座敷
6. あかあかと 日は難面も あきの風
7. 月はやし 梢は雨を 持ちながら
8. 枯朶に 鳥のとまりけり 秋の暮
9. 冬の日や 馬上に氷る 影法師
10. 旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る
個人的には合唱曲ではないですが、ビオラとオーケストラのための「啓かれた時」が印象に残っています。サントリーホールでの初演を聞きに行って、すごく気持ちがよかった記憶があります。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
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