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三善晃氏が10月4日、心不全のためお亡くなりになられました。
私がまだ高校1年生で、同じクラスの人間から合唱部(私の高校では音楽部と称していました)に一緒に入ろうと誘われ、新入生歓迎会用に上級生が練習していた
「心の四季」の中の「みずすまし」、それも合唱パートではなくてピアノのアルペジオの美しさに惹かれて合唱を始めてみたのです。当時はエリック・クラプトンとか、ELPとか、ディープ・パープルとかいった洋楽を聴いておりまして、クラシックなんか音楽の授業でしか聴かない。合唱だって音楽の授業しか歌ってこなかったし、合唱部に入ってからも「大地讃頌」なんか格好いいねなんて言っているような高校生でした。その年の秋、NHKのたしかFMだったと思いますが、全日本合唱コンクールの実況録音を放送しておりまして、ほかの合唱団はどんな曲を歌っているんだろうという興味もあってエアチェックしてみたのです。課題曲の
Salve Reginaや
ラシーヌ讃歌など外国の曲が並んでいるなかで、その日の放送の唯一の日本の曲が
「ほらがいの笛」でした。洋楽を聴いているような高校1年生が突然「ほらがいの笛」を聴いたっていいと思うわけがありません。実際全然わかりませんでした。暗いテーマ、複雑な和音、頻繁に変わる拍子、わけのわからないピアノ。当時の自分には理解を超えた音楽でしたし、その時はけっしていいとは思わなかったのを覚えています。でも
何かが気になったんです。その
何かは今でも心の隅でもやもやしてなんだかわからないままですが、当時、その
何かが高校生を「五つの童画」のLPや楽譜を買いに走らせ、擦り切れるまで繰り返し楽譜を見ながら聴かせることになったのです。そしてきっとその
何かが合唱のLPや楽譜の収集に駆り立て、今の自分があるように思います。
三善晃さんの作品や作風・評価などはほかの詳しい方がお書きになられるでしょうから、私は全く個人的な思いを記させていただきました。
肉体は死して朽ち果てるとも「五つの童画」は永遠に不滅です。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
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